日本におけるダアワの環境的障害(日本語訳は下)
by al-Imam Mohsen Bayoumi
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翻訳:鵜川佳奈

慈悲深く、慈愛あまねくアッラーの御名のもとに。
我々は、唯一絶対の創造主であるアッラーのみを崇拝し、アッラーが預言者ムハンマド―彼の上に平安あれ―を遣わして人間があるべき道を示したことを証言します。

まず初めに、東京アラブ・イスラム学院に、このような講演会を開いてくださったことを心より感謝申し上げます。私達は、イスラムの教えを日本の人々に伝えるという任務を負っています。そして、現在の限られた状況を考えますと、私達が直面する問題を分析し、それらの問題を理解しようと試みることは、大変重要であります。私達は第三のミレニアムに突入し、イスラムが初めて日本に伝えられてからすでに100年以上が経っているにも関わらず、イスラムは未だ日本において広がりを見せていないということは明らかです。日本人とは対照的に、多くのアメリカ人、南米人やヨーロッパ人は、各地域において最も急速な成長を遂げているイスラムに帰依しています。

 従って、日本の人々が本当のイスラムを理解するのを妨げている障害について分析することが重要です。というのも、そのような問題を知ることができれば、現状を改善するための計画を練ることが可能になるからです。

 調査の結果わかったことは、日本においてイスラム普及の障害になっているものは二つのタイプに分けることができるということです。―環境的な理由によるものと、ダアワ活動自体によるものです。ダアワ活動が個々の講演において扱われているため、環境的な理由を説明するためにこの講演会を開きました。

導入

 初めに、重要な事実をいくつか挙げておきましょう。イスラムは、この世界のあらゆる国のあらゆる人々のための普遍的な宗教です。アッラーは、預言者ムハンマド―彼の上に平安あれ―について、「あらゆる世界に対する慈悲として送った」と述べています。また、イスラムは、人間の精神と肉体、そして魂を、私達を取り巻く世界と調和させる、自然な生き方であるのです。

かつては、何の疑問も抱かずに自分の属する社会の持つ信仰を受け入れることがまれではありませんでした。しかし、情報時代といわれる現代では、知識を容易に手に入れることができ、非論理的な信仰はもはや受け入れられなくなりました。イスラムはこの理論に直接訴えかけ、聖クルアーンには、理性と思考の重要性を説いた節がいくつもあります。理性的な人々に対する明らかなしるしがここにあるのです。An-Nahl.16.67には、思考を重ねる人々に対する明らかなしるしがあります。An-Nahl.16.69

 先進国に住む人々は、進んだ技術によってもたらされた物質主義的な生活に強く影響されています。彼らは、望むものは何でも手に入るものの、何かが欠けていると感じているのです。彼らに欠けているのは、自分達を精神的に満たしてくれる何かです。もし人々が、知性と論理的思考によって真実を求めようとすれば、イスラムのみが人間の物質的・精神的欲求を満たしてくれると気付くでしょう。 >>>>次のページへ