@ 女性の服装に関する注意
もしあなたが、一人旅の女性、もしくは少人数の女性だけのグループでの旅をしているのなら、服装ひとつで、シリアの旅の印象が180度変わると言っても過言ではないでしょう。
なぜなら、日本では普通のことである女性が肌を出しているということが、イスラームの国ではとてもはしたないことと思われているため、日本にいるときと同じような服装をイスラーム国でしていると、人々の目には、非常識な女性と映ってしまうからです。イスラームでは、女性の手と顔以外は、家族や夫以外の男性に見せないことになっています。なぜなら、女性はとても大切な存在なので、必要以上に人の目にさらされて、傷つけられるのを防ぐためです。
例えば、海岸に転がっている小石と海の奥底深くに眠っている真珠を比べてみましょう。真珠はとても美しく貴重なものなので、固い貝殻に外側を覆われた上に、深い海の底に眠っています。それに比べて、海岸の小石は、誰にでも踏まれてしまい、角が割れたり傷ついたりします。そこを通る人は誰も、その存在に敬意を払ったりしません。
イスラーム において、女性は真珠のような大切な存在ですから、きちんと自分の身を衣服やヒジャーブ(頭に被る髪を覆うスカーフ)で、保護します。きれいな腕や足首などを、家族以外の男性に見せて、むやみに男性の気を引くようなことをして、自分を傷つけない様にする為です。
ですから、半袖のTシャツを着ていたり、足やおしりのラインが分かるようなジーンズをはいていたりすると、男性に敬意を払ってもらうような女性としては見られにくくなってしまいます。
もし、日本で外国人の女性が水着姿で街中を歩いていたらどうでしょうか。人々の目はその女性に釘付けになるでしょうし、その女性が、水着姿で歩いていて、変な男性に声をかけられたり、痴漢に
あったといって、日本はとんでもない国だと怒っていたら、どう思いますか?「水着姿で街中を歩いていれば、嫌な目にあうに決まっているのに。非常識だなぁ。」とあなたは思うでしょう。
それと同じように、イスラーム国で、日本人女性が、ちびTシャツとぴったりしたジーンズ姿で街中を歩くことは、人々の目を釘付けにし、イスラーム国の人々に日本人女性が非常識だという印象を与えてしまいがちです。日本ではそれが普通の服装でも、イスラームの国では、日本で水着姿で歩いている外国人女性と同じくらい、挑発的で非常識な服装になってしまうからです。
その外国人女性 も、あなたに言うかもしれません。「でもこの服は、私の国では皆着ているのよ!」って。彼女の理屈は通りますか?彼女が、変な男性に声をかけられることなく、日本できちんとした女性として見られるためには、彼女にブラウスとスカートをはく事を勧めますよね?それと同じように、イスラーム国に滞在している私達は、あなたに、長袖と、足首の隠れる長さのスカート、もしくはゆったりとしたパンツをはくことをお勧めします。
イスラーム国においても、都市部では、クリスチャンや西欧化したムスリムが数多くいるため、夏には、露出度の高い服装をした女性を実際、街で見かけます。しかし、同じ感覚でいても、彼女たちはその街に、家族も親戚も大勢住んでいるため、地元の男性は彼女たちに何かした場合、彼女の父親や兄弟達からどんな目にあうかわかりませんし、親戚の数が多いため、その女性が実は親戚の友達だったというようなことにもなりかねません。そのため、そういう服装をしていても、彼女たちは痴漢行為の対象になりにくく、反対に、その街に家族や知り合いのいない旅行者である上、外国人である日本人女性は目に付きやすく、痴漢行為の対象になりやすいのです。
私の友達 がシリアに遊びに来た折、私は彼女に体の線の隠れる服を着て、髪の毛の隠れる帽子かスカーフを身につけるようアドバイスしています。これだけで、人々が、彼女をきちんとした女性として見て扱ってくれるという保証があるからです。きちんとした服装をしていれば、土産物屋のおじさんのお釣りの渡し方まで違ってきます。女性の手に触れないよう、細心の注意を払ってお釣りを渡してくれます。
イスラームで女性がどんなに大切にされているかを、身をもって体験したければ、ぜひ滞在中だけでも、ヒジャーブをしてみてはいかがでしょうか。人々のあなたに対する態度が、まったく変わるのに驚かされることでしょう。
POINT
@ なるべく女性一人で行動せず、仲間を作って一緒に外出する。
A女性一人で行動することになってしまったら、男性と二人きりになるような状況を絶対に避ける。博物館やお店、ホテル内でも十分注意してください。
( 痴漢被害例 )
・パルミラなど観光地で他に観光客があまりいない状況で、ラクダに女性一人で乗り、人気の無いところに連れて行かれ、被害に遭う。パルミラのラクダ引きの男性の中には、常習的に犯罪行為を繰り返していると見られる男性がいるので、十分注意してください。
・夜タクシーの中で、女性一人だったため、後部座席にいたにもかかわらず、被害に遭う。
・女性一人のホテルの部屋で、シャワーの具合を見に来たホテル従業員に被害に遭う。
・老夫婦の経営するアットホームなホテルで、オーナーの老人とサロンで話していたら、奥さんがいなくなった途端に、卑猥な話をするなどセクハラ被害にあう。(ラタキアのホテル ジャマール)
B女性の一人旅だということを男性に絶対に言わない。
Cバスや電車の中では、女性の隣に座る。きちんとした服装をしていれば、男性が席を譲って女性の隣に座るよう配慮してくれることも多いです。
Dドミトリーのホテルで、男性と同室にならない。同室の男性が友達で、問題がなくても、周りの人(ホテルの従業員など)には、そういう女性だと思われて、痴漢行為に遭う確率が高くなるからです。
E夜遅く(10時以降、観光地など場所によっては9時以降)は、一人で外出しない。
Fヒジャーブを身につけたら、ホテル内などでも、男性の前ではいつもしておく。着けたりはずしたりしていると、いいかげんな女性だと思われて、逆効果になってしまいます。
G男性と握手しない。握手を求められても女性は断るのが普通です。きちんとした服装をしていると、相手も握手を求めません。握手を断る動作は、右手を自分の胸の上に当てます。
H男性と目をあわせたり、笑顔を向けたりしない。日本では普通のことですが、女性が男性の目を見たり、笑いかけたりすることが、誤解を招くので、注意してください。
|