エルトールル号海難後の義捐金活動

義捐金募集活動はいくつか行われたが、下のおのは神戸又新日報に掲載されたものだ。時事新報社は、義捐金4,248円97銭6厘を集め、野田正太郎記者に託し、エルトールル号海難の生存者69名を送り届けるために出港した「比叡」「金剛」に同行し、トルコに赴いた。


義捐金募集廣告(神戸又新日報、原文通り)
 去十六日の凶事は實に言ふに忍びざるものあり就中、土耳其軍艦沈没の一事は惨の又惨、怛の又怛なるものなり世人知る如く同軍艦は皇族を使節とし始めて慇懃に通じ越したるものなれば国交際の上に於ても宜しく相當懇待の意を表すべし故に本社は他に率先して義捐金を募集し一半は死者祭祀料一半は生存者見舞金に贈り東洋の日本は義に富み情に厚き國なり民たることを知らしめんとす望むらくは江湖(世の中、世間、民間)諸君の續々應募し本社をしてその志を空うせしめざらんことをその取扱手續は左の如し
 一、義捐金は一人十銭以上とす
 一、義捐金は現金若くは為替を以て本社に寄せらるべし
    但し為替は神戸郵便電信局宛に振り込まれたし
 一、本社義捐金を受け取りたる時は翌日の神戸又新日報紙上に
    金高と姓名とを掲げて以て受領の證に代ふ
 一、義捐〆切り期限は十月十日限りとす
 一、義捐金は纏まり次第之れを適當と思考する官廰に依頼して
    配與を乞ふべし