サード章
マッカ啓示88節


1.サード。訓戒に満ちたクルアーンにかけて。
2.いや、信仰のない者たちは、高慢で反抗的である。
3.われはかれら以前に、どんなに多くの世代を滅ぼしたことであろう。かれらは、もはや逃れ得ない時となって(慈悲を)請う。
4.またかれらは、自分たちの中から警告者が出たことに驚き、不信心者は言う。「これは魔術師です。嘘付きです。
5.かれは多くの神々を、一つの神にしてしまうのですか。これは全く、驚きいったことです。」
6.そして、かれらの長老たちは立ち去りながら(その場にいた仲間に言う。)「行きなさい。そしてあなたがたの神々を守り通しなさい。これは(一神教の教え)全くの企らみです。
7.わたしたちはこれまでの教えで、こんなことを聞いたことがありません。これは作り話に過ぎません。
8.わたしたちの間で、あんな男にだけ御告げが下ったと言うのですか。」いや、かれらはわれの訓戒に、疑いを抱いている。いや、かれらはまだわれの懲罰を味わったことがない。
9.それともかれらは、偉力ならびなく、恵み多いあなたの主の、慈悲の宝物を持っているのか。
10.かれらは天地、そしてその間の万有の、大権をもっているのか。それならかれらに手だてをさせて、(天の玉座まで)登らせなさい。
11.しかしあれは、烏合の衆で只敗走するばかり。
12.かれら以前にも、ヌーフの民、アード(の民)および権勢を張り廻らしたフィルアウンも、
13.またサムード(の民)やルートの民、および森の民も使徒たちを徒党を組んで嘘付き呼ばわりした。
14.(これらは)皆使徒たちを嘘付き呼ばわりし、それでわれからの懲罰が確実に下った。
15.これらの者も、かの一声を待つだけである。それには一刻の猶予もない。
16.かれらは、「主よ、わたしたちの授かる分を清算の日以前に、急いで下さい。」と言う。
17.あなたはかれらの言葉を耐え忍べ。そしてわがしもべである堅固の人ダーウードを思え。本当にかれは、(主の)命令に服して讃美しつつ常に(主の御許に)帰った。
18.われは山々を従わせ、かれと共に朝夕に讃美させ、
19.また鳥類も、集って、凡てのものが主の命令に服して讃美しつつ常に(主の御許に)帰った。
20.そこでわれはかれの王権を強化し、英知と断固たる決断力をかれに授けた。
21.あなたは論争者の物語を聞いたのか、人びとが私室の壁を乗り越えて、
22.ダーウードのところに入って来たのでかれは驚いた。かれらは言った。「恐れることはありません。これが訴訟の当事者の双方です。一方が他方に不正を働きました。真理によってわたしたちの間を裁いて下さい。不公平がないように、わたしたちを公正な道に御導き下さい。」
23.「これは、わたしの兄です。かれは99頭も雌羊を持っており、わたしは(只)1頭しか持っていませんでした。ところがかれは、それをも自分に任せなさいと言ったのです。そして言葉巧みにわたしを言い負かせてしまったのです。」
24.かれ(ダーウード)は、「かれがあなたの羊を、取り込もうとしたのは、確かに不当です。本当に共同で仕事をする者の多くは、互いに侵しあう。信仰して善行に勤しむ者は別だが、それは稀です。」と言った。(その時)ダーウードは、われがかれを試みたことを喩り、主の御赦しを請い、礼拝にひれ伏し、悔悟して主の御許に帰った。〔サジダ〕
25.それでわれは、かれ(の過ち)を赦した。かれは(今)本当にわれに近づき、多幸な(悟り切った)帰り所にいる。
26.「ダーウードよ、われはあなたを地上の代理者にした。だから人びとを、真理によって裁き、私欲に従って、アッラーの道を踏みはずしてはならない。アッラーの道から迷う者は清算の日を忘れた者で、必ず厳しい懲罰にあう。」
27.われは天と地、そしてその間にあるものを、戯らに創らなかった。それは信仰のない者の憶測である。だが(いずれ地獄の)火を味わう信仰のない者こそ哀れである。
28.われが信仰して善行に勤しむ者と、地上で悪を行う者と同じに扱うことがあろうか。われが(悪魔に対し)身を守る者と、邪悪の者とを同じに扱うであろうか。
29.われがあなたに下した啓典は、祝福に満ち、その印を沈思黙考するためのものであり、また思慮ある者たちへの訓戒である。
30.われはダーウードにスライマーンを授けた。何と優れたしもべではないか。かれは悔悟して常に(われに)帰った。
31.(ある日の)黄昏時、駿馬が、かれに献上された時のことを思い起しなさい。
32.かれは言った。「本当にわたしは、(この世の)素晴しい物をめでて、夜の帳が降りるまで、主を念ずることを忘れてしまったのです。
33.さあ、その馬を連れて参れ。そしてかれは、馬の足と首を切り落としてしまった。
34.またわれはスライマーンを試み、(病を与え)重態のかれを椅子に据えた。その後かれは回復し、
35.言った。「主よ、わたしを御赦し下さい。そして後世の誰も持ち得ない程の王国をわたしに御与え下さい。本当にあなたは豊かに与えられる方です。」
36.そこでわれは、風をかれに従わせた。それはかれの思うままに、その命令によって望む所に静かに吹く。
37.またわれはシャイターンたちを、(かれに服従させた。その中には)大工があり潜水夫もあり、
38.またその外に、スライマーンの命令に服さず鎖に繋がれた者もいた。
39.(主は仰せられた。)「これがわれの賜物である。あなたが与えようと、控えようと、問題はない。」
40.かれは(今)われの近くにいて、幸せな(悟りきった)帰り所にいる。
41.わがしもべ、アイユーブを思い起しなさい。かれが主に向かって、「シャイターンがわたしを悩ませ、苦しみ抜いているのです。」と叫んだ時を思い起しなさい。
42.(すると命令が下った。)「あなたの足で(大地を)踏みなさい。そこには清涼な沐浴と飲料のための(水)があろう。」
43.われは慈悲として、かれに(再び)家族を2倍にして授け、思慮ある者への教訓とした。
44.(そして言った。)「一握りの草を手に取って、それで(妻を)打て。あなたの誓いを破ってはならない。」われは、かれが良く耐え忍ぶことを知った。何と優れたしもべではないか。かれは(主の命令に服して)常に(われの許に)帰った。
45.またわがしもべの、イブラーヒームとイスハークとヤアコーブを思い起しなさい。かれらは偉力を持ち、洞察力があった。
46.われは、かれらが(来世の)住まいを念じているという純粋な(資質)によって(免じて)かれらを清めてやった。
47.本当にかれらは、わが目にも選ばれ優れた者であった。
48.またイスマーイールとアル・ヤサアとズ・ル・キフルを思い起せ。かれらは皆優れた者であった。
49.これは一つの教訓である。本当に主を畏れる者のためには、幸せな帰り所がある。
50.(それは)永遠の楽園であり、その凡ての門はかれらのために開かれる。
51.その中でかれらは(安楽に寝床に)寄りかかり、沢山の果実や飲み物が、望み放題である。
52.また傍には、伏し目がちの同じ年頃の(乙女)が侍る。
53.これらは清算の日のために、あなたがたに約束されるものである。
54.本当にこれは、尽きることのない(あなたがたへの)賜物である。
55.(主を畏れる者は)このようである。だが反逆の徒には、悪い帰り所があろう。
56.それは地獄である。かれらはそこで焼かれよう。何と悪い臥所であろうか。
57.(実に)これは、こういうことだがかれらは煮え立つ湯と膿を味わされ、
58.その外、これに類する(懲罰)をとり合わせて受けることになる。
59.これはあなたがたと一緒に、むやみに突き進む一群である。かれらには歓迎の言葉もない。火獄で焼かれるだけである。
60.かれらは(火獄の仲間はかれらの指導者たちに)言う。「いや、歓迎されないのは、あなたがたです。わたしたちのために、こう仕向けたのはあなたがたです。何と悪い住まいに来たものでしょう。」
61.するとかれらは言う。「主よ、わたしたちをここに連れて来た者には、火獄で倍の懲罰を御加え下さい。」
62.かれら(火獄の仲間)は言う。「わたしたちが悪人の中に数えていた人びとが見えないのです。どうしたのでしょう。
63.わたしたちが嘲笑していた者(が見えない)。かれらは、(わたしたちの)目をくらませたのではないでしょうか。」
64.本当にこれは真相で、火獄の仲間の論争である。
65.言ってやるがいい。「わたしは警告者に過ぎない。唯一の方、抵抗出来ない方、アッラーの外には神はないのである。
66.天と地、そしてその間の万有の主、偉力ならびなく寛容であられる。」
67.言ってやるがいい。「これは至高の知らせである。
68.あなたがたは、それから背き去るが。
69.且つて(天使の)高い位階の者たちの論議については、わたしは何の知識もなかった。
70.これがわたしに啓示されたのは、只わたしが公明に警告するためである。」
71.あなたの主が、天使たちに、「われは泥から人間を創ろうとしている。」と仰せられた時を思え。
72.「それでわれが、かれ(人間)を形作り、それに霊を吹き込んだならば、あなたがたは伏してかれにサジダしなさい。」
73.そこで天使たちは、皆一斉にサジダしたが、
74.イブリースだけはそうしなかった。かれは高慢で、信仰を拒む者となった。
75.かれは仰せられた。「イブリースよ、われの手ずから創ったものにサジダするのに、何があなたを妨げたのか。あなたは高慢なのか、それとも高い(偉力ある)者なのか。」
76.かれは申し上げた。「わたしはかれ(人間)よりも優れています、あなたは火でわたしを御創りになりましたが、かれは泥で創られただけです。」
77.かれは仰せられた。「それならあなたは、ここから出て行きなさい、本当に忌まわしいから。
78.そしてわれからの見限りは、審判の日まで必ずあなたの上にあろう。」
79.かれは申しあげた。「主よ、かれらが呼び起こされる日まで、猶予を願います。」
80.かれは仰せられた。「あなたを猶予しよう。
81.定められた日時まで。」
82.かれは申し上げた。「それでは、あなたの御威光にかけて誓います。わたしはかれら(人間)凡ての者を誘惑します。
83.かれらの中の、あなたの謙虚なしもべを除いては。」
84.かれは仰せられた。「それは真実である。われからも真実を言う。
85.われは、あなたとあなたに従う凡ての者で、地獄を満たすであろう。」
86.言え、「わたしはこの(クルアーン)に対し何の報酬もあなたがたに求めない。またわたしは偽善者ではない。
87.これは諸民族に対する訓戒に外ならない。
88.時が来たら、あなたがたはそれが真実であることを必ず知るであろう。」

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