雌牛章
マディーナ啓示286節



1.アリフ・ラーム・ミーム。   
2.それこそは、疑いの余地のない啓典である。その中には、主を畏れる者たちへの導きがある。
3.主を畏れる者たちとは、幽玄界を信じ、礼拝の務めを守り、またわれが授けたものを施す者、
4.またわれがあなた(ムハンマド)に啓示したもの、またあなた以前(の預言者たち)に啓示したものを信じ、また来世を堅く信じる者たちである。
5.これらの者は、主から導かれた者であり、また至上の幸福を成就する者である。
6.本当に信仰を拒否する者は、あなたが警告しても、また警告しなくても同じで、(頑固に)信じようとはしないであろう。
7.アッラーは、かれらの心も耳をも封じられる。また目には覆いをされ、重い懲罰を科せられよう。
8.また人びとの中、「わたしたちはアッラーを信じ、最後の(審判の)日を信じる。」と言う者がある。だがかれらは信者ではない。
9.かれらはアッラーと信仰する者たちを、欺こうとしている。(実際は)自分を欺いているのに過ぎないのだが、かれらは(それに)気付かない。
10.かれらの心には病が宿っている。アッラーは、その病を重くする。この偽りのために、かれらには手痛い懲罰が下されよう。
11.「あなたがたは、地上を退廃させてはならない。」と言われると、かれらは、「わたしたちは矯正するだけのものである。」と言う。
12.いや、本当にかれらこそ、退廃を引き起こす者である。だがかれらは(それに)気付かない。
13.「人びとが信仰するよう、信仰しなさい。」と言われると、かれらは、「わたしたちは愚か者が信仰するように、信じられようか。」と言う。いや、本当にかれらこそ愚か者である。だがかれらは、(それが)分らない。
14.かれらは信仰する者に会えば、「わたしたちは信仰する。」と言う。だがかれらが仲間の悪魔〔シャイターン〕たちだけになると、「本当はあなたがたと一緒なのだ。わたしたちは、只(信者たちを)愚弄していただけだ。」と言う。
15.だがアッラーは、このような連中を愚弄し、不信心のままに放置し、当てもなくさ迷わせられる。
16.これらの者は導きの代わりに、迷いを購った者で、かれらの取引は利益なく、また決して正しく導かれない。
17.かれらを譬えれば火を灯す者のようで、折角火が辺りを照らしたのに、アッラーはかれらの光を取り上げられ、暗闇の中に取り残されたので、何一つ見ることが出来ない。
18.聾唖で盲人なので、かれらは引き返すことも出来ないであろう。
19.また(譬えば)暗闇の中で雷鳴と稲妻を伴なう豪雨が天から降ってきたようなもので、落雷の恐さから死を恐れて、(戯らに)耳に指を差し込む。だがアッラーは、不信心者たちを全部取り囲まれる。
20.稲妻はほとんどかれらの視覚を奪わんばかりである。閃く度にその中で歩みを進めるが、暗闇になれば立ち止まる。もしもアッラーが御望みならば、かれらの聴覚も視覚も必ず取り上げられる。本当にアッラーは、凡てのことに全能であられる。
21.人びとよ。あなたがた、またあなたがた以前の者を創られた主に仕えなさい。恐らくあなたがたは(悪魔に対し)その身を守るであろう。
22.(かれは)あなたがたのために大地を臥所とし、また大空を天蓋とされ、天から雨を降らせ、あなたがたのために糧として種々の果実を実らせられる方である。だからあなたがたは(真理を)知った上は、(唯一なる)アッラーの外に同じような神があるなどと唱えてはならない。
23.もしあなたがたが、わがしもべ(ムハンマド)に下した啓示を疑うならば、それに類する1章〔スーラ〕でも作ってみなさい。もしあなたがたが正しければ、アッラー以外のあなたがたの証人を呼んでみなさい。
24.もしあなたがたが出来ないならば、いや、出来るはずもないのだが、それならば、人間と石を燃料とする地獄の業火を恐れなさい。それは不信心者のために用意されている。
25.信仰して善行に勤しむ者たちには、かれらのために、川が下を流れる楽園に就いての吉報を伝えなさい。かれらはそこで、糧の果実を与えられる度に、「これはわたしたちが以前に与えられた物だ。」と言う。かれらには、それ程似たものが授けられる。また純潔な配偶者を授けられ、永遠にその中に住むのである。
26.本当にアッラーは、蚊または更に小さいものをも、比喩に挙げることを厭われない。信仰する者はそれが主から下された真理であることを知る。だが不信心者は、「アッラーは、この比喩で一体何を御望みだろう。」と言う。かれは、このように多くの者を迷うに任せ、また多くの者を(正しい道に)導かれる。かれは、主の掟に背く者の外は、(誰も)迷わさない。
27.確約して置きながらアッラーとの約束を破る者、アッラーが結べと命じられたものから離れ、地上で悪を行う者、これらの者は(等しく)失敗者である。
28.あなたがたはどうしてアッラーを拒否出来ようか。かれこそは生命のないあなたがたに、生命を授けられた御方。それからあなたがたを死なせ、更に甦らせ、更にまたかれの御許に帰らせられる御方。
29.かれこそは、あなたがたのために、地上の凡てのものを創られた方であり、更に天の創造に向かい、7つの天を完成された御方。またかれは凡てのことを熟知される。
30.またあなたの主が(先に)天使たちに向かって、「本当にわれは、地上に代理者を置くであろう。」と仰せられた時を思い起せ。かれらは申し上げた。「あなたは地上で悪を行い、血を流す者を置かれるのですか。わたしたちは、あなたを讃えて唱念し、またあなたの神聖を讃美していますのに。」かれは仰せられた。「本当にわれはあなたがたが知らないことを知っている。」
31.かれはアーダムに凡てのものの名を教え、次にそれらを天使たちに示され、「もし、あなたがた(の言葉)が真実なら、これらのものの名をわれに言ってみなさい。」と仰せられた。
32.かれらは(答えて)申し上げた。「あなたの栄光を讃えます。あなたが、わたしたちに教えられたものの外には、何も知らないのです。本当にあなたは、全知にして英明であられます。」
33.かれは仰せられた。「アーダムよ、それらの名をかれら(天使)に告げよ。」そこでアーダムがそれらの名をかれらに告げると、かれは、「われは天と地の奥義を知っているとあなたがたに告げたではないか。あなたがたが現わすことも、隠すことも知っている。」と仰せられた。
34.またわれが天使たちに、「あなたがた、アーダムにサジダしなさい。」と言った時を思い起せ。その時、皆サジダしたが、悪魔〔イブリース〕だけは承知せず、これを拒否したので、高慢で不信の徒となった。
35.われは言った。「アーダムよ、あなたとあなたの妻とはこの園に住み、何処でも望む所で、思う存分食べなさい。だが、この木に近付いてはならない。不義を働く者となるであろうから。」
36.ところが悪魔〔シャイターン〕は、2人を躓かせ、かれらが置かれていた(幸福な)場所から離れさせた。われは、「あなたがたは落ちて行け。あなたがたは、互いに敵である。地上には、あなたがたのために住まいと、仮初の生活の生計があろう。」と言った。
37.その後、アーダムは、主から御言葉を授かり、主はかれの悔悟を許された。本当にかれは、寛大に許される慈悲深い御方であられる。
38.われは言った。「あなたがたは皆ここから落ちて行け。やがてあなたがたに必ずわれの導きが恵まれよう。そしてわれの導きに従う者は、恐れもなく憂いもないであろう。
39.だが信仰を拒否し、われの印を嘘呼ばわりする者は、業火の住人であって、永遠にその中に住むであろう。」
40.イスラエルの子孫たちよ、あなたがたに施したわれの恩恵を心に銘記し、われとの約束を履行しなさい。われはあなたがたとの約束を果すであろう。われだけを畏れなさい。
41.あなたがたが持っているものの確証として、われが下した啓示(クルアーン)を信じ、これを信じない者の、先頭になってはならない。また僅かな代償で、わが印を売ってはならない。そしてわれだけを畏れなさい。
42.嘘をもって真理を被ったり、また(確かに)知っていながら、真理を隠してはならない。
43.礼拝〔サラート〕の務めを守り、定めの施し〔ザカ―卜〕をなし、立礼〔ルクーウ〕に勤しむ人たちと共に立礼しなさい。
44.あなたがたは、人びとに善行を勧めながら、自分では(その実行を)忘れてしまったのか。あなたがたは啓典を読誦しながら、それでも尚理解しないのか。
45.忍耐と礼拝によって、(アッラーの)御助けを請い願いなさい。だがそれは、(主を畏れる)謙虚な者でなければ本当に難かしいこと。
46.敬神の仲間はやがて主に会うこと、かれの御許に帰り行くことを堅く心に銘記している者である。
47.イスラエルの子孫たちよ、われがあなたがたに与えた恩恵と、(わが啓示を)万民に先んじ(て下し)たことを念い起せ。
48.そして誰も外の者のために身代りになれない日のために、またどんな執り成しも許されず、償いも受け入れられず、また誰一人助けることの出来ない(日のために)その身を守りなさい。
49.そしてわれがあなたがたをフィルアウンの一族から救った時を思い起せ。かれらはあなたがたを重い刑に服させ、あなたがたの男児を殺し、女児を生かして置いた。それはあなたがたの主からの厳しい試練であった。
50.またわれがあなたがたのために海を分けて、あなたがたを救い、あなたがたが見ている前で、フィルアウンの一族を溺れさせた時のことを思い起せ。
51.また、われが40夜にわたり、ムーサーと約束を結んだ時のこと。その時あなたがたはかれのいない間に仔牛を神として拝し、不義を行った。
52.それでも、その後われはあなたがたを許した。必ずあなたがたは感謝するであろう。
53.またわれがムーサーに、啓典と(正邪の)識別〔フルカーン〕(の基準)を与えたことを思い起せ。これもあなたがたが正しく導かれるであろうと思ってのこと。
54.その時ムーサーはその民に告げて言った。「わたしの民よ、本当にあなたがたは、仔牛を選んで、自らを罪に陥れた。だからあなたがたの創造の主の御許に悔悟して帰り、あなたがた自身を殺しなさい。そうしたら、創造の主の御目にも叶い、あなたがたのためにもよいだろう。」こうしてかれは、あなたがたの悔悟を受け入れられた。本当にかれは、度々許される御方、慈悲深い御方であられる。
55.あなたがたが、「ムーサーよ、わたしたちはアッラーをはっきりと見るまでは、あなたを信じないであろう。」と言った時を思い起せ。するとあなたがたが見ている前で、落雷があなたがたを襲った。
56.それからわれは戒めとして落雷によりかれらに死を与え、感謝させるために復活させた。
57.われは雲の影をあなたがたの上に送り、そしてマンナとウズラとを下し、「われが授ける善いものを食べなさい。」(と告げたが、いうことをきかなかった)。かれらはわれを損なったのではなく、只自分の魂を損なったのである。
58.またこう言った時を思い起せ。「あなたがたは、この町に入り、意のままにそこで存分に食べなさい。頭を低くして門を入り、『御許し下さい。』と言え。われはあなたがたの過ちを赦し、また善行をする者には(報奨を)増すであろう。」
59.だがかれらの中の不義を行う者は、かれらに告げた言葉を、(勝手に)変えてしまった。それでわれは、それら不義を行う者の上に天から懲罰を下した。度々(わが命に)背いたためである。
60.またムーサーがその民のために、水を求めて祈った時を思い起せ。われは、「あなたの杖で岩を打て。」と言った。するとそこから、12の泉が涌き出て、各支族は、自分の水場を知った。「アッラーから授かった糧を、食べ且つ飲みなさい。堕落して、地上で悪を行ってはならない。」
61.あなたがたがこう言ったのを思い起せ。「ムーサーよ、わたしたちは、一色の食物だけでは耐えられないから、地上に産するものをわたしたちに与えられるよう、あなたの主に祈って下さい。それは野莱、胡瓜、穀物、れんず豆と玉葱である。」かれは言った。「あなたがたは、良いものの代りにつまらないものを求めるのか。(それなら)あなたがたの望むものが求められるような、どの町にでも降りて行くがよい。」こうしてかれらは、屈辱と貧困にうちひしがれ、またアッラーの激怒を被むった。それはかれらが、アッラーの印を拒否して信じないで、不当にも預言者たちを殺害したためである。これもかれらがアッラーの掟に背いて、罪を犯していたためである。
62.本当に(クルアーンを)信じる者、ユダヤ教徒、キリスト教徒とサービア教徒で、アッラーと最後の(審判の)日とを信じて、善行に勤しむ者は、かれらの主の御許で、報奨を授かるであろう。かれらには、恐れもなく憂いもないであろう。
63.またわれがあなたがたと契約を結び、あなたがたの頭上に(シナイ)山を持ち上げた時を思い起せ。「われがあなたがたに下したものを、しっかり受け取り、その中にあるものを銘記しなさい、そうすればあなたがたは神を畏れるであろう。」(と告げた。)
64.だがあなたがたは、その後背き去った。もしあなたがたにアッラーの恵みと慈悲がなかったならば、あなたがたは、きっと失敗にうちひしがれていたであろう。
65.またあなたがたは、自分たちの中で安息日の掟を破った者に就いて知っている、われはかれらに言い渡した。「あなたがたは猿になれ、卑められ排斥されよ。」
66.われはこうしてあなたがたの時代、また後代の者ヘの見せしめとし、また主を畏れる者への訓戒とした。
67.またムーサーが、その民に告げてこう言った時を思い起せ。「アッラーは、一頭の雌牛を犠牲に供えることをあなたがたに命じられる。」かれらは言った。「あなたは、わたしたちを愚弄するのか。」かれは祈った。「アッラーよ、わたしを御救い下さい。愚か者の仲間にならないように。」
68.かれらは言った。「あなたの主に御願いして、それがどんな(牛)か、わたしたちにはっきりさせて下さい。」かれは言った。「かれは仰せられる、その雌牛は老い過ぎずまた若過ぎない。その間の程良い(雌牛)である。さああなたがたが命じられたことを実行しなさい。」
69.かれらは言った。「あなたの主に御願いして、それが何色であるのか、わたしたちにはっきりさせて下さい。」かれは言った。「かれは仰せられる、それは黄金色の雌牛で、その色合は鮮かで、見る者を喜ばせるものである。」
70.かれらは言った。「あなたの主に御願いして、それはどんな(牛)か、わたしたちにはっきりさせて下さい。単に雌牛では、わたしたちにはどうも同じに思える。もしアッラーが御望みなら、わたしたちはきっと正しく導いて頂けよう。」
71.かれは(答えて)言った。「かれは仰せられる、それは土地の耕作にも、また畑の灌漑にも使われない、完全な無傷の雌牛だ。」かれらは言った。「あなたは今やっと、真実を伝えてくれた。」かれらは犠牲を捧げるのを引き伸ばしていたが、最後にはそれを余儀なくされた。
72.また、あなたがたが1人の人間を殺し、それがもとで互いに争った時のことを思い起せ。だがアッラーは、あなたがたが隠していたことを、暴かれた。
73.われは「その(雌牛の肉の)一片でかれを打て。」と言った。こうしてアッラーは死者を甦らせ、その印をあなたがたに示される。必ずあなたがたは悟るであろう。
74.ところがその後、あなたがたの心は岩のように硬くなった。いやそれよりも硬くなった。本当に岩の中には、川がその間から涌き出るものがあり、また割れてその中から水がほとばしり出るものもあり、またアッラーを畏れて、崩れ落ちるものもある。アッラーはあなたがたの行うことを、おろそかにされない。
75.(信仰する人びとよ)あなたがたは、かれら(ユダヤ人)があなたがたを信じることを望めようか。かれらの中の一団は、アッラーの御言葉を聞き、それを理解した後で故意にそれを書き変える。
76.そしてかれらは、信者たちに会うと、「わたしたちは信じる。」と言う。だがお互いだけで会うと、かれらは言う。「アッラーがあなたがたに解明されたものを、態々かれら(ムスリム)に知らせてやり、主の御前で、かれらがそれに就いてあなたがたを説き伏せる(余地を)与えるのか。」あなたがたは(かれらの狙いが)分からないのか。
77.かれらは知らないのであろうか。アッラーはかれらの隠すことも、現わすことも知り尽くされることを。
78.またかれらの中には、啓典を知らない文盲がいる、かれらは只(虚しい)願望を持ち、勝手に臆測するだけである。
79.災いあれ、自分の手で啓典を書き、僅かな代償を得るために、「これはアッラーから下ったものだ。」と言う者に。かれらに災いあれ、その手が記したもののために。かれらに災いあれ、それによって利益を得たために。
80.そしてかれらは、「業火がわたしたちに触れるのは、何日かの間に過ぎないであろう。」と言う。言ってやるがいい。「あなたがたは、アッラーと約束を結んだと言うのか。それならアッラーは決して破約されないであろう。それともあなたがたは、アッラーに就いて知りもしないことをロにしようとするのか。」
81.いや悪い行いを重ね、自分の罪で身動きが出来なくなるような者は皆、業火の住人である。その中に永遠に住むのである。
82.だが信仰して善行に勤しむ者は楽園の住人である。その中に永遠に住むのである。
83.われがイスラエルの子孫と、約束を結んだ時のことを思い起せ。(その時われは言った。)「あなたがたはアッラーの外に、何ものも崇めてはならない。父母に孝養をつくし、近親、孤児、貧者を親切に扱い、人びとに善い言葉で話し、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をしなさい。」だが、あなたがたの中少数の者を除き、背き去った。
84.またわれが、あなたがたと約束を結んだ時のことを思い起せ。「あなたがたは仲間で血を流してはならない。またあなたがたの同胞を生れた土地から追い出してはならない。」そこであなたがたは、これを厳粛に承認し、自ら証言したのである。
85.それにも拘らず、その後互いに殺し合ったのはあなたがたであり、また一部の者を生れた土地から追い出し、罪と憎しみとをもって対立し(敵に)味方した。またかれらが捕虜となった時、身代金を取っている。かれらを追放したこと(自体)が、違法であるのに。あなたがたは啓典の一部分を信じて、一部分を拒否するのか。凡そあなたがたの中こんなことをする者の報いは、現世における屈辱でなくてなんであろう。また審判の日には、最も重い懲罰に処せられよう。アッラーはあなたがたの行うことを見逃されない。
86.これらの人びとは、来世の代りに、現世の生活を購った者である。結局かれらの懲罰は軽減されず、また助けも得られないであろう。
87.こうしてわれはムーサーに啓典を授け、使徒たちにその後を継がせた、またわれはマルヤムの子イーサーに、明証を授け、更に聖霊でかれを強めた。それなのにあなたがた(ユダヤ人たち)は、使徒が自分たちの心にそわないものを齎す度に、傲慢になった。ある者を虚言者呼ばわりし、またある者を殺害した。
88.かれらは「わたしたちの心は覆われている」と言う。そうではない、アッラーはかれらをその冒涜のために見限られたのである。したがって信仰に入る者は極く希である。
89.(今)アッラーの御許から啓典(クルアーン)が下されて、かれらが所持していたものを更に確認出来るようになったが、――以前から不信心の者に対し勝利を御授け下さいと願っていたにも拘らず――心に思っていたものが実際に下ると、かれらはその信仰を拒否する。アッラーの譴責は必ず不信心者の上に下るであろう。
90.災いは、かれらが自分の魂を売ったことにある。かれらがアッラーの下された啓典を信じないのは、アッラーがよいとされたしもベ(ムハンマド)に、下された恩恵を嫉むためである。それでかれらは、かれの怒りの上に怒りを招いた。不信心者は恥ずべき懲罰を受けるであろう。
91.かれらに向かって、「あなたがたは、アッラーが下されたものを信じなさい。」と言われると、かれらは、「わたしたち(ユダヤ人)は、わたしたちに下されたものを信じる。」と言う。それ以外のものは、仮令かれらが所持するものを確証する真理でさえも信じない。言ってやるがいい。「あなたがたがもし信者ならば、何故以前アッラーの預言者たちを殺害したのか。」
92.本当にムーサーは、明証をもってあなたがたの許にやって来た。ところがあなたがたは、かれのいない時仔牛を神として拝み、不義の徒となったのである。
93.またわれが、あなたがたの上に(シナイ)山を持ち上げて、契約を結んだ時のことを思い起せ。「われがあなたがたに下したものをしっかり受け取り、また(われの律法を)聞きなさい。」かれらは(答えて)「わたしたちは聞く、だが従わない。」と言った。この拒否のため、かれらは、仔牛(に対する信仰)を心の中に飲み込んでしまった。言ってやるがいい。「もしあなたがたに信仰があるのなら、あなたがたの信仰の命じることこそ憎むべきである。」
94.言ってやるがいい。「もしアッラーの御許の、来世における住まいが、あなたがた(ユダヤ人)だけの特別あつらえで、外の人びとは入れないものであり、あなたがたが正しいというならば、素直に死を願い出よ。」
95.だがかれらは、その手が予め犯した(罪の)ために、決して死を望まないであろう。アッラーは、不義を行う者を熟知される。
96.かれらこそ生に最も執着する連中であることを、あなたは知るであろう。多神教徒はそれぞれ千年の寿命を望んでいる。だが仮令生き長らえても、その懲罰からは免れないであろう。アッラーはかれらの行いを凡て御存知であられる。
97.言ってやるがいい(ムハンマドよ)。「ジブリールに敵対するのは、誰であるのか。本当にかれこそは、アッラーの御許しにより、先にあるものを確証し、また信者への導き、吉報として、あなたの心に(主の啓示を)下す者である。
98.アッラーとその諸々の天使、使徒およびジブリールとミーカールに敵対する者は、誰であるのか。本当にアッラーこそ不信心者にとっては敵である。」
99.われは、明白な印をあなたに下した。性根の曲がった者の外は、誰もこれを拒否しないであろう。
100.かれら(ユダヤ人)は約束を結ぶ度に、その中の一派の者が、それを放棄する。いや、かれらの多くは(元来)信じないのである。
101.使徒がアッラーの御許からやって来て、かれらの所持するものを確証すると、啓典の民の中の一派は、アッラーの啓典をまるで知らなかったかのように、背後に捨てた。
102.そしてかれらは、悪魔たちがスライマーンの王権に就いて、(偽って)述べることに従った。スライマーンは不信心ではなかった。しかし悪魔たちは不信心だったので人びとに妖術を教え、またバービル(バビロン)でハールートとマールートの両天使に授けられたものを教えた。だが両天使は、こう告げた後でなければ、誰にも教えなかった。「わたしたちは試みるだけだ。それで不信心になってはならない。」かれら(人びと)は両者から、夫と妻の間を引き離す術を学んだ。だがかれら(悪魔)とて、アッラーの御許しがない限り、それで誰も害することは出来なかった。しかし人びとは、自分に害になる、益のないことを学んだ。(この術を)購った者は、来世において何の福分にも与れないことを知りながら。ああ、何とつまらないもののために、かれらは魂を売ってしまったのか。かれらにそれが分っていたらよかったのに。
103.かれらがもし信仰して、(悪魔から)その身を守ったならば、アッラーの御許から、きっと良い報奨を得たであろう。かれらにそれが分っていたらよかったのに。
104.あなたがた信仰する者よ、ラーイナーと言ってはならない、ウンズルナーと言いなさい。そして(使徒の言葉に)耳を傾けなさい。不信者たちには厳しい懲罰が下ろう。
105.啓典の民の中、不信心者と多神教徒は、主からあなたがたに善いことが下るのを決して喜ばない。だがアッラーは、御心に適う者に、特別な慈悲をかけられる。アッラーは偉大な恩恵の主であられる。
106.われは(啓示の)どの節を取り消しても、また忘れさせても、それに優るか、またはそれと同様のものを授ける。アッラーは凡てのことに全能であられることを知らないのか。
107.あなたは天と地の大権が、アッラーの有であることを知らないのか。またあなたがたには、アッラー以外に守護者も援助者もないのである。
108.あなたがたは、以前ムーサーが問いただされたように、あなたがたの使徒に詰問しようとするのか。本当に信仰の代わりに不信心を選ぶ者は、公正な道から迷い去った者である。
109.啓典の民の多くは、あなたがたが信仰を受け入れた後でも、不信心に戻そうと望んでいる。真理がかれらに明らかにされているにも拘らず、自分自身の嫉妬心からこう望むのである。だからアッラーの命令が下るまで、かれらを許し、見逃がしておきなさい。本当にアッラーは凡てのことに全能であられる。
110.礼拝の務めを守り、定めの喜捨をしなさい。あなたがたが自分の魂のためになるよう行ったどんな善事も、アッラーの御許で見出されるであろう。誠にアッラーは、あなたがたの行うことを御存知であられる。
111.かれらは、「ユダヤ人とキリスト教徒の外、誰も楽園に入いれないだろう。」と言う。それはかれらの(虚しい)望みである。言ってやるがいい。「もしあなたがたが真実なら、証拠を出して見なさい。」
112.これに反し、アッラーに自分の真心を尽くして服従、帰依し、善行に勤しむ者は、主の御許から報奨を与えられる。かれらには恐れもなく憂いもないであろう。
113.ユダヤ人は言う。「キリスト教徒は、全く拠るところがない。」キリスト教徒も、「ユダヤ人は全く拠るところがない。」と言う。かれらは(同じ)啓典を読誦しているのに。知識のない者どもは、これと同じ(ような)ことを口にする。だがアッラーは、審判の日にかれらの論争に判決を下される。
114.アッラーの聖なるマスジドで(人びとが)その御名を讃えるのを妨げたり、またそれを破壊しようとする者よりも不埒な者がどこにいるだろうか。これらの者は、(本来)恐る恐るそこに足を踏み入れることしか出来ないはずである。かれらは、現世では屈辱を、また来世では厳しい懲罰を受けよう。
115.東も西も、アッラーの有であり、あなたがたがどこに向いても、アッラーの御前にある。本当にアッラーは広大無辺にして全知であられる。
116.またかれらは、「アッラーは御子をもうけられる。」と言う。何と恐れ多いことよ。凡そ、天にあり地にある凡てのものは、かれの有であり、かれに崇敬の誠を尽くします。
117.(かれこそは)天と地の創造者である。かれが一事を決められ、それに「有れ。」と仰せになれば、即ち有るのである。
118.知識のない者たちは、「アッラーは、何故わたしたちに話しかけられず、また印を下されないのだろう。」と言う。以前にもかれらのように言う者がいた。かれらの心は同じようなものである。しっかりした信仰を持つ人びとには、われは種々の印を既に明示している。
119.本当にわれは、吉報と警告の伝達者として、あなたを真理と共に遣わした。あなたは業火の住人に就いて問われることはない。
120.ユダヤ教徒もキリスト教徒も、あなたを納得しないであろう。あなたがかれらの宗旨に従わない限りは。言ってやるがいい。「アッラーの導きこそ(真の)導きである。」知識があなたに下っているにも拘らず、かれらの願いに従うならば、アッラー以外には、あなたを守る者も助ける者もないであろう。
121.われから啓典を授けられ、それを正しく読誦する者は、これ(クルアーン)を信じる。それを拒否する者どもは失敗者である。
122.イスラエルの子孫よ、われがあなたがたに与えた恩恵と、(わが啓示を)万民に先んじ(て下し)たことを念え。
123.誰一人、他人の身代りとなり得ない日のために、その身を守れ。どんな償いも受け入れられず、どんな執り成しも無駄で、誰にも助けてもらえない(その日のために)。
124.またイブラーヒームが、ある御言葉で主から試みられ、かれがそれを果たした時を思い起せ。「われはあなたを、人びとの導師としよう。」と主は仰せられた。かれは「またわたしの子孫までもですか。」と申し上げたところ、「われの約束は、悪行をした者たちには及ばない。」と仰せられた。
125.われが人びとのため、不断に集る場所として、また平安の場として、この家(カアバ)を設けた時を思い起せ。(われは命じた。)「イブラーヒームの(礼拝に)立った所を、あなたがたの礼拝の場としなさい。」またイブラーヒームとイスマーイールに命じた。「あなたがたはこれをタワーフ(回巡)し、イアテカ―フ(御籠り)し、またルクーウ(立礼)し、サジダする者たちのために、わが家を清めなさい。」
126.イブラーヒームが(祈って)言った。「主よ。ここを平安の町にして下さい。その住民に、果実を御授け下さい。アッラーと最後の日を信じる者のために。」するとかれは仰せられた。「信仰を拒否する者にも、しばしの間楽しみを与えよう。その後かれらを火獄の懲罰に、駆り立てるであろう。何と悪い帰り所であることよ。」
127.それからイブラーヒームとイスマーイールが、その家の礎を定めた時のこと。(その時二人は言った。)「主よ、わたしたちから(この奉仕を)受け入れて下さい。本当にあなたは全聴にして全知であられる。
128.主よ、わたしたち両人を、あなたに服従、帰依する者〔ムスリム〕にして下さい。またわたしたちの子孫をも、あなたに服従、帰依する民〔ウンマ〕にして下さい。わたしたちに祭儀を示し、哀れみを与えて下さい。あなたは度々許される方、慈悲深い方であられる。
129.主よ、かれらの間にあなたの印を読誦させ啓典と英知を教え、かれらを清める使徒をかれらの中から遣わして下さい。本当にあなたは偉大にして英明な方であられる。」
130.愚か者でもない限り、誰がイブラーヒームの教えを避けるであろうか。まさにわれは、現世においてかれを選んだ。来世においても、かれはきっと正義の徒の1人である。
131.主がかれに向かって、「服従、帰依しなさい。」と仰せられた時を思い起せ。かれは、「わたしは、万有の主に服従、帰依します。」と申し上げた。
132.イブラーヒームは、このことをその子孫に伝え、ヤアコーブもまた(それにならった)。「わたしの子孫よ、アッラーはあなたがたのために、この教えを選ばれた。だから必ずムスリム(服従、帰依者)となって死なねばならない。」
133.ヤアコーブが臨終の時、あなたがたは立ち会ったか。かれがその子孫に向かって、「わたしが亡き後、あなたがたは何に仕えるのか。」と言うと、かれらは、「わたしたちはあなたの神、イブラーヒーム、イスマーイール、イスハークの神、唯一の神(アッラー)に仕えます。かれに、わたしたちは服従、帰依します。」と言った。
134.これは過ぎ去った民〔ウンマ〕のことである。かれらにはその稼いだことに対し、またあなたがたにもその稼いだことに対し(応報があろう)。かれらの行ったことに就いて、あなたがたが問われることはないのである。
135.かれらは言う。「あなたがたは正しく導かれたいならば、ユダヤ教徒かキリスト教徒になりなさい。」言ってやるがいい。「いや、わたしたちはイブラーヒ―ムの純正の教えを信奉する。かれは、多神教徒の仲間ではなかった。」
136.言え、「わたしたちはアッラーを信じ、わたしたちに啓示されたものを信じます。またイブラーヒーム、イスマーイール、イスハーク、ヤアコーブと諸支部族に啓示されたもの、とムーサーとイーサーに与えられたもの、と主から預言者たちに下されたものを信じます。かれらの間のどちらにも、差別をつけません。かれにわたしたちは服従、帰依します。」
137.それでもしかれらが、あなたがたのように信仰するならば、かれらは確かに正しい導きの中にいる。だがもし背き去るならば、かれらは離ればなれとなるであろう。彼らのことはアッラーに御任せしておけ。かれは全聴にして全知であられる。
138.アッラーの色染めというが、誰がアッラーよりも良く色染め出来ようか。わたしたちが仕えるのはかれである。
139.(ユダヤ教徒やキリスト教徒たちに)言ってやるがいい。「あなたがたは、アッラーに就いてわたしたちと論議するのか、かれはわたしたちの主であり、またあなたがたの主であられる。わたしたちにはわたしたちの行いがあり、あなたがたにはあなたがたの行いがある。わたしたちは、かれに誠を尽くします。
140.またあなたがたは、『イブラーヒーム、イスマーイール、イスハーク、ヤアコーブ、とその諸支部族が、ユダヤ教徒またはキリスト教徒であった。』と言うのか。言ってやるがいい。『最もよく知る者は、あなたがたなのか、それともアッラーであられるのか。アッラーから下された証拠を持ちながら、それを隠すよりも酷い不正があろうか。』アッラーは、あなたがたの行うことに無頓着な方ではない。」
141.かれらは過ぎ去った共同体〔ウンマ〕である。かれらにはその稼ぎがあり、またあなたがたには、その稼ぎがある。かれらの行いに就いて、あなたがたが問われることはないのである。
142.人びとの中の愚かな者は言うであろう。「どうしてかれら(ムスリム)は守っていた方向〔キブラ〕を変えたのか。」言ってやるがいい。「東も西もアッラーの有である。かれは御心にかなう者を、正しい道に導かれる。」
143.このようにわれは、あなたがたを中正の共同体〔ウンマ〕とする。それであなたがたは、人びとに対し証人であり、また使徒は、あなたがたに対し証人である。われがあなたがたの守っていたものに対し、この方向〔キブラ〕を定めたのは、只、踵を返す者と使徒に従う者とを見分けるためである。これは容易ではない事であるが、アッラーが導かれる者にとっては何でもない。だがアッラーは、あなたがたの信仰を決して虚しくなされない。本当にアッラーは人間に対し、限りなく優しく慈悲深い方であられる。
144.われはあなたが(導きを求め)、天に顔を巡らすのを見る。そこでわれは、あなたの納得するキブラに、あなたを向かわせる。あなたの顔を聖なるマスジドの方向に向けなさい。あなたがたは何処にいても、あなたがたの顔をキブラに向けなさい。本当に啓典の民は、それが主からの真理であることを知っている。アッラーは、かれらの行うことに無頓着な方ではない。
145.仮令あなたが、凡ての印を啓典の民に提示しても、かれらはあなたのキブラに従わないであろう。またあなたもかれらのキブラに従わない。かれらは互いに、他の者のキブラに従わない。あなたに知識が授けられた後、もしかれらの(虚しい)望みに従うならば、本当にあなたは、不義を行う者の仲間である。
146.われが啓典を授けた者たちは、自分の子を認めるようにそれを認める。だがかれら一部の者は、承知の上で真理を隠す。
147.真理は主から(来たもの)である。だからあなたがたは疑うべきではない。
148.各人にはその向かう方位がある。それで互いに凡ての善事を競え。あなたがたは何処にいても、アッラーは一斉にあなたがたを集められる。誠にアッラーは凡てのことに全能であられる。
149.だからあなたは、何処に行っても、顔を聖なるマスジドの方に向けなさい。これは本当に、あなたの主からの真理である。アッラーは、あなたがたの行うことに無頓着な方ではない。
150.だからあなたがたは、何処に行っても、顔を聖なるマスジドの方に向けなさい。またあなたがたは何処にいても、顔をそこに向けなさい。これは不義を行う者は論外であるが、人々があなたがたに対しとやかく言う余地を無くすためである。だからかれらを恐れず、ただわれを畏れなさい。それはあなたがたに対する、わが恩恵を全うするためである。あなたがたは恐らく正しい導きを与えられるであろう。
151.われはあなたがたの一人をわが使徒として遣わし、わが印をあなたがたに読誦して、あなたがたを清め、また啓典と英知を教え、あなたがたの知らなかったことを教えさせた。
152.だからわれを念じなさい。そうすればわれもあなたがたに就いて考慮するであろう。われに感謝し、恩を忘れてはならない。
153.あなたがた信仰する者よ、忍耐と礼拝によって助けを求めなさい。本当にアッラーは耐え忍ぶ者と共におられる。
154.アッラーの道のために殺害された者を、「(かれらは)死んだ。」と言ってはならない。いや、(かれらは)生きている。只あなたがたが知らないだけである。
155.われは、恐れや飢え、と共に財産や生命、(あなたがたの労苦の)果実の損失で、必ずあなたがたを試みる。だが耐え忍ぶ者には吉報を伝えなさい。
156.災難に遭うと、「本当にわたしたちは、アッラーのもの。かれの御許にわたしたちは帰ります。」と言う者、
157.このような者の上にこそ主からの祝福と御恵みは下り、またかれらは、正しく導かれる。
158.本当にサファーとマルワは、アッラーの印の中である。だから聖殿に巡礼する者、または(小巡礼のためにそれを)訪れる者は、この両丘をタワーフ(回巡)しても罪ではない。進んで善い行いをする者には、本当にアッラーは嘉し、それをよく御認め下さる。
159.啓典の中で人びとのためわれが解明した後で、凡そわれが下した明証と導きを隠す者たちは、アッラーの怒りに触れ、呪う者たちの呪いにも会うであろう。
160.だが悔悟してその身を修め、(真理を)公然と表明する者は別で、これらの者には、われはその悔悟を許すであろう。本当にわれは度々許す、慈悲深い者である。
161.本当に信仰を拒んで不信者として死ぬ者たち、かれらの上にはアッラーの譴責と、天使たちおよび全人類の呪いがある。
162.かれらはその中に永遠に住むであろう。その懲罰は軽減されず、また猶予もないであろう。
163.あなたがたの神は唯一の神(アッラー)である。かれの外に神はなく、慈悲あまねく慈愛深き方である。
164.本当に天と地の創造、昼夜の交替、人を益するものを運んで海原をゆく船の中に、またアッラーが天から降らせて死んだ大地を甦らせ、生きとし生けるものを地上に広く散らばせる雨の中に、また風向きの変換、果ては天地の間にあって奉仕する雲の中に、理解ある者への(アッラーの)印がある。
165.だが人びとの中にはアッラーの外に同位の者を設けて、アッラーを愛するようにそれらを愛する者もある。だが信仰する者たちは、アッラーを激しく熱愛する。これら悪を行う者が、その懲罰を見る時思い知るがいい。一切の権能がアッラーに属し、またアッラーが厳しい懲罰を加えられることを。
166.その時指導者たちは追従者を見捨てて、懲罰を目の辺にして、かれらの間の一切の絆が断絶するであろう。
167.それで追従者たちは言う。「もしわたしたちが今一度ひき返すことが出来るならば、かれらがわたしたちを見捨てたようにかれらを見捨てるのだが。」アッラーはこのように、自分の行い(の果実)を明示される。かれらにとって痛恨の外ないであろう。かれらは業火(の責め苦)から出ることは出来ない。
168.人びとよ、地上にあるものの中良い合法なものを食べて、悪魔の歩みに従ってはならない。本当にかれは、あなたがたにとって公然の敵である。
169.かれは、唯罪悪と醜事をあなたがたに命じ、アッラーに就いて、あなたがたの知らないことをロ走らせる。
170.かれらに、「アッラーが啓示されたところに従え。」と言えば、かれらは、「いや、わたしたちは祖先の道に従う。」と言う。何と、かれらの祖先は全く蒙昧で、(正しく)導かれなかったではないか。
171.信仰を拒む者たちを譬えるならば、何と呼びかけられても、呼び声と叫び声の外聞けない者のようで、聾唖者、盲人である。したがってかれらは理解することが出来ない。
172.信仰する者よ、われがあなたがたに与えた良いものを食べなさい。そしてアッラーに感謝しなさい。もしあなたがたが本当に、かれに仕えるのであるならば。
173.かれがあなたがたに、(食べることを)禁じられるものは、死肉、血、豚肉、およびアッラー以外(の名)で供えられたものである。だが故意に違反せず、また法を越えず必要に迫られた場合は罪にはならない。アッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。
174.アッラーが啓示された啓典の一部を隠し、それで僅かな利益を購う者は、その腹の中に火だけを飲み、復活の日にアッラーの御言葉もなく、また清めてもいただけないであろう。かれらは痛ましい懲罰を受ける。
175.これらの者は、導きの代りに迷いを購い、また寛容の代りに懲罰を購う者たちである。かれらは如何に業火(の責め苦)を耐えねばならないことであろうか。
176.それというのもアッラーが、真理をもって啓典を下されたからである。この啓典に就いて異論を唱える者は、遠く離れ去った者たちである。
177.正しく仕えるということは、あなたがたの顔を東または西に向けることではない。つまり正しく仕えるとは、アッラーと最後の(審判の)日、天使たち、諸啓典と預言者たちを信じ、かれを愛するためにその財産を、近親、孤児、貧者、旅路にある者や物乞いや奴隷の解放のために費やし、礼拝の務めを守り、定めの喜捨を行い、約束した時はその約束を果たし、また困苦と逆境と非常時に際しては、よく耐え忍ぶ者。これらこそ真実な者であり、またこれらこそ主を畏れる者である。
178.信仰する者よ、あなたがたには殺害に対する報復が定められた。自由人には自由人、奴隷には奴隷、婦人には婦人と。だがかれ(加害者)に、(被害者の)兄弟から軽減の申し出があった場合は、(加害者は)誠意をもって丁重に弁償しなさい。これはあなたがたへの主からの(報復の)緩和であり、慈悲である。それで今後これに違反する者は、痛ましい懲罰を受けるであろう。
179.この報復(の掟)には、あなたがたへの生命(の救助)がある。思慮ある者たちよ、恐らくあなたがたは主を畏れるであろう。
180.あなたがたの中、死が近付いて、もし財産を残す時は、両親と近親に、公正な遺言をするよう定められている。これは、主を畏れる者の義務である。
181.それを聞いた後、(その遺言を勝手に)変更する者があれば、罪はそれを変更した者の上にある。本当にアッラーは、全聴にして全知であられる。
182.ただし、遺言者に不公平または不正のあることを恐れる者が、当事者の間を調停するのは、罪ではない。アッラーは寛容にして慈悲深き御方である。
183.信仰する者よ、あなたがた以前の者に定められたようにあなたがたに斎戒が定められた。恐らくあなたがたは主を畏れるであろう。
184.(斎戒は)定められた日数である。だがあなたがたのうち病人、または旅路にある者は、後の日に(同じ)日数を(斎戒)すればよい。それに耐え難い者の償いは、貧者への給養である。すすんで善い行いをすることは、自分のために最もよい。もしあなたがたがよく(その精神を)会得したならば、斎戒は更にあなたがたのために良いであろう。
185.ラマダーンの月こそは、人類の導きとして、また導きと(正邪の)識別の明証としてクルアーンが下された月である。それであなたがたの中、この月(家に)いる者は、この月中、斎戒しなければならない。病気にかかっている者、または旅路にある者は、後の日に、同じ日数を(斎戒する)。アッラーはあなたがたに易きを求め、困難を求めない。これはあなたがたが定められた期間を全うして、導きに対し、アッラーを讃えるためで、恐らくあなたがたは感謝するであろう。
186.われのしもべたちが、われに就いてあなたに問う時、(言え)われは本当に(しもべたちの)近くにいる。かれがわれに祈る時はその嘆願の祈りに答える。それでわれ(の呼びかけ)に答えさせ、われを信仰させなさい、恐らくかれらは正しく導かれるであろう。
187.あなたがたは斎戒の夜、妻と交わることを許される。かの女らはあなたがたの衣であり、あなたがたはまたかの女らの衣である。アッラーはあなたがたが自ら欺いているのを知っておられ、不憫におもわれ、あなたがたを許された。だからかの女らと交わり、アッラーがあなたがたのため、定められたところに従え。また白糸と黒糸の見分けられる黎明になるまで食べて飲め。その後は日暮れまで斎戒を全うしなさい。マスジドに御籠りしている間、かの女らに交わってはならない。これはアッラーの(定められた)掟だから、それに近付いてはならない。このようにアッラーは、人びとに印を説き明かされる。恐らくかれらは主を畏れるであろう。
188.あなたがたの間で、不法にあなたがたの財産を貪ってはならない。またそれを贈って裁判官に近付き、他人の財産の一部を、不当であると知りながら貪ってはならない。
189.かれらは新月に就いて、あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それは人びとのため、また巡礼のための時の定めである。」またあなたがたが、自分の家の裏口から入るのは善行ではない。凡そ善行とは、主を畏れることである。だから家に入るには、正門から入りなさい。アッラーを畏れよ、あなたがたは恐らく至上の幸福を成就するであろう。
190.あなたがたに戦いを挑む者があれば、アッラーの道のために戦え。だが侵略的であってはならない。本当にアッラーは、侵略者を愛さない。
191.かれらに会えば、何処でもこれを殺しなさい。あなたがたを追放したところから、かれらを追放しなさい。本当に迫害は殺害より、もっと悪い。だが聖なるマスジドの近くでは、かれらが戦わない限り戦ってはならない。もし戦うならばこれを殺しなさい。これは不信心者ヘの応報である。
192.だがかれらが(戦いを)止めたならば、本当にアッラーは、寛容にして慈悲深くあられる。
193.迫害がなくなって、この教義がアッラーのため(最も有力なもの)になるまでかれらに対して戦え。だがもしかれらが(戦いを)止めたならば、悪を行う者以外に対し、敵意を持つべきではない。
194.聖月には聖月、また聖事には聖事、これが報復である。誰でも、あなたがたに敵対する者には、同じように敵対しなさい。だがアッラーを畏れなさい。本当にアッラーは、主を畏れる者と共におられることを知れ。
195.またアッラーの道のために(あなたがたの授けられたものを)施しなさい。だが、自分の手で自らを破滅に陥れてはならない。また善いことをしなさい。本当にアッラーは、善行を行う者を愛される。
196.アッラーのために、巡礼〔ハッジ〕と小巡礼〔オムラ〕を全うしなさい。もしあなたがたが妨げられたならば、容易に得られる供物を(送りなさい)。そして供物が犠牲を捧げる場に到着するまで、あなたの頭を剃ってはならない。あなたがたの中に病人、または頭(の皮膚)に患いのある者は、斎戒をするか施しをなし、または犠牲を捧げて(頭を剃る)償ないとしなさい。またあなたがたが故障もないのに小巡礼をして、巡礼までの間を楽しむ者は、容易に得られる犠牲を捧げなければならない。もしそれを捧げることが不可能な時は、巡礼中に3日、帰ってから7日、合せて10日間(の斎戒)をしなさい。これは聖なるマスジド(の所在地マッカ)に、家を持たない者に対する掟である。あなたがたはアッラーを畏れ、またアッラーの懲罰は本当に厳しいことを知りなさい。
197.巡礼(の時期)は周知の数月である。それでその間に巡礼の務めを果たそうと決心した者は、巡礼中、猥褻な行いや不道徳な行いを慎しみ、また論争してはならない。あなたがたの行う善いことを、アッラーは知っておられる。旅の準備をしなさい。だが最も優れた準備は篤信の念である。あなたがた思慮ある者よ、われを畏れなさい。
198.主の恩恵を求めて祈(り巡礼中に商売す)るのは、あなたがたにとって罪ではない。それでアラファートから、どっと下ってきて、聖なる場所(ムズダリファ)でアッラーを唱えて念じなさい。かれがあなたがたのことを思って導かれたように、あなたがたもかれを念いなさい。以前あなたがたは、確かに迷っていた。
199.それで、人びとの急ぎ降りるところから急ぎ降り、アッラーの御赦しを請い願いなさい。誠にアッラーは、寛容にして慈悲深くあられる。
200.あなたがたは聖儀を果たしたならば、アッラーを念じなさい。あなたがたの祖先を念じるように、いやそれよりも深く精魂を打ち込んで念じなさい。人びとの中には(祈って)、「主よ、現世でわたしたちに、幸いを賜わりますように。」と言う者がある。だがかれらは来世における分けまえを得られないであろう。
201.また人びとの中には(祈って)、「主よ、現世でわたしたちに幸いを賜い、また来世でも幸いを賜え。業火の懲罰から、わたしたちを守ってください。」と言う者がある。
202.これらの者には、その行ったことに対して分けまえがあろう。本当にアッラーは精算に迅速である。
203.定められた数日間、アッラーを念じなさい。アッラーを畏れる者の中、誰でも急ぐならば、2日目(に帰っ)ても罪にはならない。また留まっても罪ではない。アッラーを畏れなさい。あなたがたは必ず、かれの御許に集められることを知りなさい。
204.人びとの中には、この世の生活に関する言葉で、あなたの目をくらませる者がある。そしてかれらは、自分の胸に抱くことの証人としてアッラーを呼ぶ。だがこのような人間こそ最も議論好きな敵である。
205.かれらは背を向けるやいなや、地上に悪を広めることにつとめ、収穫物や家畜を荒し廻る。だがアッラーは邪悪を愛されない。
206.かれらは「アッラーを畏れなさい。」と言われると、その高慢さのため(更に)罪に走る。かれらには地獄こそ適しい。だが何と悪い臥所であろうか。
207.また人びとの中には、アッラーの御喜びを願って、自分を売った者がある。アッラーは(御自分の)しもベに優しくあられる。
208.あなたがた信仰する者よ、心を込めてイスラーム(平安の境)に入れ。悪魔の歩みを追ってはならない。本当にかれは、あなたがたにとって公然の敵である。
209.明証が下った後、あなたがたがもし足を踏みはずすならば、アッラーは偉力ならぶ者なく、英明であられることを知りなさい。
210.かれらは、アッラーが雲の天蓋の中に、天使たちを率いてかれらに臨まれ、その事を解決されるのを待つだけではないのか。アッラーに凡ての事(の決定)は、帰属するのである。
211.イスラエルの子孫に問え。われが如何に多くの明証を、かれらに下したかを。アッラーの恩恵が下った後、これを改変する者があれば、本当にアッラーは懲罰に厳重であられる。
212.現世の生活は、不信心な者たちにとり魅惑的である。そしてかれらは信仰する者たちを嘲り笑う。だが(主に対して自分の)義務を果たす者は、復活の日にかれらの上位に立つであろう。アッラーは、御望みの者に限りなく与えられる。
213.人類は(もともと)一族であった。それでアッラーは、預言者たちを吉報と警告の伝達者として遣わされた。またかれらと共に真理による啓典を下し、それで、人びとの間に異論のある種々の事に就いて裁定させられる。こうしてかれらに明証が下っているにも拘らず、(啓典を)授けられた者たちは、かえって互いのために争ったのである。アッラーは、かれらが異論を唱える真理に就いて、信仰する者を特別の御許しで導かれる。本当にアッラーは、御心に適う者を正しい道に導かれる。
214.それともあなたがたは、先に過ぎ去った者たちが出会ったような(試みが)まだ訪れない先に(至上の幸福の)園に入ろうと考えるのか。かれらは災難や困窮に見舞われ、(不安の中に)動揺させられて、使徒も、一緒の信者たちも、「アッラーの御助けは、何時(来る)だろう。」と叫んだ程であった。ああ、本当にアッラーの御助けは近付いている。
215.かれらは、如何に施すべきか、あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「あなたがたが施してよいのは両親のため、近親、孤児、貧者と旅路にある者のためである。本当にアッラーはあなたがたの善行を、何でも深く知っておられる。」
216.戦いがあなたがたに規定される。だがあなたがたはそれを嫌う。自分たちのために善いことを、あなたがたは嫌うかもしれない。また自分のために悪いことを、好むかもしれない。あなたがたは知らないが、アッラーは知っておられる。
217.かれらは聖月中に戦争することに就いて、あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「聖月中に戦うことは重大事である。だがアッラーの道に近付くのを妨げ、かれを否定し、また聖なるマスジド〔アル・マスジド・ル・ハラーム〕を汚し、そこ(の聖域)に住む者を追放することは、アッラーの御目にはもっと重大事である。迫害は、殺害より遙かに悪い。」かれらはもし出来るなら、あなたがたを信仰から背かせるまで戦いを止めないであろう。あなたがたの中で、もし信仰に背き、不信心者のままで死ぬ者があれば、このような者は、現世でも来世でも、その行いは徒となる。またこれらの者は、業火の住人である。かれらは永遠にその中に住む。
218.本当に信仰する者、(迫害を避けて)移り住む者、そしてアッラーの道のために奮闘努力する者、これらの者は、アッラーの慈悲に浴するであろう。アッラーは寛容にして慈悲深き方であられる。
219.かれらは酒と、賭矢に就いてあなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それらは大きな罪であるが、人間のために(多少の)益もある。だがその罪は、益よりも大である。」またかれらは、何を施すべきかを、あなたに問うであろう。その時は、「何でも余分のものを。」と言ってやるがいい。このようにアッラーは、印をあなたがたに明示される。恐らくあなたがたは反省するであろう、
220.現世に就いてもまた来世に就いても。またかれらは孤児に関し、あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「かれらのために、有利に取計らうのは善いことである。もし、かれらと親しく交る時は、あなたがたは兄弟である。」アッラーは、善意の者と悪事をなす者を知っておられる。アッラーがおぼしめしならば、あなたがたをきっと困惑させられる。誠にアッラーは、偉力ならぶものなく英明であられる。
221.多神教の女とは、かの女が信者になるまでは結婚してはならない。仮令あなたがたが気に入っていても、多神教の女よりは信仰のある女奴隷が勝る。また多神教の男が信者になるまでは、あなたがたの女子をかれらに嫁がせてはならない。仮令あなたがたの気に入っていても、多神教の男よりは信仰ある奴隷の方が勝っている。これらの者は、信者を業火に誘う。だがアッラーは寛容に罪を許され、楽園に呼び入れられる。また人びとに、かれの印を明示される。恐らくかれらは反省するであろう。
222.かれらは月経に就いて、あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それは不浄である。だから月経時には、妻から遠ざかり、清まるまで近付いてはならない。それで清まった時には、アッラーが命じられるところに従って、かの女らに赴け。誠にアッラーは、悔悟して不断に(かれに)帰る者を愛でられ、また純潔の者を愛される。」
223.妻はあなたがたの耕地である。だから意のままに耕地に赴け。だが自分の魂のために、(予め何か)善いことをしなさい。アッラーを畏れなさい。あなたがたは(来世で)かれに会うことを知りなさい。なお(これらの)吉報を信者たちに伝えなさい。
224.あなたがたは善行、アッラーを畏れて正しいことを行うこと、また人々の間を執りなすことなどに対してアッラーヘの誓いをロ実にしてはならない。アッラーは全聴にして全知であられる。
225.アッラーは、あなたがたの誓いの中、不用意な言葉を咎めようとはなされない。だが、あなたがたの心の意図することを、咎められる。誠にアッラーは寛容にして大度の持主であられる。
226.妻と縁を絶つことを誓う者は、4ヶ月間待たねばならない。もし(離婚の意志を)ひるがえすならば、誠にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
227.またかれらが、もし離婚を堅く決心したならば、誠にアッラーは全聴にして全知であられる。
228.離婚された女は、独身のままで3度の月経を待たねばならない。またもしもかの女らが、アッラーと最後の日を信じるならば、アッラーが胎内に創られたものを、隠すのは合法ではない。(この場合)夫たちがもし和解を望み、その期間内にかの女らを復縁させるならば、より権利がある。女は、公平な状態の下に、かれらに対して対等の権利をもつ。だが男は、女よりも一段上位である。誠にアッラーは偉力ならびなく英明であられる。
229.離婚(の申し渡し)は、2度まで許される。その後は公平な待遇で同居(復縁)させるか、あるいは親切にして別れなさい。あなたがたはかの女に与えた、何ものも取り戻すことは出来ない。もっとも両人が、アッラーの定められた掟を守り得ないことを恐れる場合は別である。もしあなたがた両人が、アッラーの定められた掟を守り得ないことを恐れるならば、かの女がその(自由を得る)ために償い金を与えても、両人とも罪にはならない。これはアッラーの掟である。それ故これに背いてはならない。凡そアッラーの掟を犯す者こそ不義の徒である。
230.もしかれが(3回目の)離婚(を申し渡)したならば、かの女が他の夫と結婚するまでは、これと再婚することは出来ない。だが、かれ(第2の夫)がかの女を離婚した後ならば、その場合両人は罪にならない。もしアッラーの掟を守っていけると思われるならば、再婚しても妨げない。これはアッラーの掟である。かれは知識のある者たちに、これを説き明かされる。
231.あなたがたが妻を離婚して定められた期限が満了したならば、公平な待遇で同居させるか、または親切にして別れなさい。かの女を困らすために引きとめて、法を越えてはならない。そんなことをする者は、自分の魂を損う者である。愚弄して、アッラーの御告げを戯れごとにしてはならない。あなたがたに対するアッラーの恩恵を念い、またあなたがたに授けられた、あなたがたに勧告する啓典と英知を念え。アッラーを畏れなさい。アッラーは凡てのことを知り尽くされていることを知れ。
232.あなたがたが妻を離別し、定められた期間が満了して双方の合意の下に、妥当に話がまとまったならば、かの女らの結婚を(前の)夫は妨げてはならない。これ(教え)は、あなたがたの中アッラーと最後の日を信じる者への訓戒である。それはあなたがたにとって、最も清浄であり潔白である。あなたがたは知らないが、アッラーは知っておられる。
233.母親は、乳児に満2年間授乳する。これは授乳を全うしようと望む者の期間である。父親はかれらの食料や衣服の経費を、公正に負担しなければならない。しかし誰も、その能力以上の負担を強いられない。母親はその子のために不当に強いられることなく、父親もその子のために不当に強いられてはならない。また相続人もそれと同様である。また両人が話し合いで合意の上、離乳を決めても、かれら両人に罪はない。またあなたがたは乳児を乳母に託すよう決定しても、約束したものを公正に支給するならば、あなたがたに罪はない。アッラーを畏れなさい。アッラーは、あなたがたの行いを御存知であられることを知れ。
234.もしあなたがたの中死後に妻を残す者があれば、かの女らは独身のままで4ヶ月と10日間を待たなければならない。その期間が満了した時、かの女らが適切に、その身を処することに就いては、あなたがたに罪はない。アッラーはあなたがたの行うことを熟知しておられる。
235.あなたがたはそのような女に、結婚を仄めかしても、または(その想いを)自分の胸にしまっておいても罪はない。アッラーはあなたがたが胸に秘めることを知っておられる。だが、公正な言葉で話す外、決してかの女と秘密に約束してはならない。また定められた期限が来るまでは、結婚の契りを固めてはならない。アッラーは、あなたがたが心の中に抱くことを熟知しておられることを知れ。だからかれに留意しなさい。アッラーが寛容にして慈悲深い方であられることを知れ。
236.あなたがたがかの女らに触れず、また贈与額も定めない中に、離別するのは罪ではない。だがかの女らに(マハル)の一部を与えなさい。富者はその分に応じ、貧者もその分に応じて公正に贈与をしなさい。(これは)正しい行いをする者の務めである。
237.あなたがたがかの女らと離別する場合、まだかの女らには触れてはいないが、既にマハルを決めていた時は、約定した額の半分を与えなさい。かの女らが辞退するか、または結婚のきずなを握る者が辞退しない限り、あなたがたは(それを)辞退するのが最も正義に近い。なおあなたがたは、相互のよしみを忘れてはならない。アッラーはあなたがたの行う凡てのことを御存知であられる。
238.各礼拝を、特に中間の礼拝を謹厳に守れ、敬虔にアッラーの御前に立て。
239.あなたがたが、(敵の)恐れある時は、徒歩または騎乗のまま(略式の礼拝をしなさい)。だが安全になった時は、(完全な礼拝をして)アッラーを念じなさい。あなたがたが(もと)知らなかったことを、かれが教えられたように。
240.あなたがたの中(主に)召されて妻を残す者は、追い立てられることなく1年間扶養を受けるよう、妻たちのために遺言しなければならない。だがかの女らが出て行き合法的に行動することに対しては、あなたがたに罪はない。アッラーは偉力ならびなく英明であられる。
241.離婚された女に対しては、妥当な贈り物をしなければならない。これは主を畏れる者の負う務めである。
242.このようにアッラーは、あなたがたにその印を説き明かされる。恐らくあなたがたは悟るであろう。
243.あなたは、自分の家から出て行った者たちを見なかったのか。かれらは死を恐れたためにそうしたが、その数は何千人に及んだ。アッラーはかれらに向かって「死ね。」と言われ、それから甦らせられた。誠にアッラーは人間への恩恵の主であられる。だが人びとの多くは感謝しない。
244.アッラーの道のために戦え。アッラーは全聴にして全知であられることを知れ。
245.アッラーによい貸付をする者は、誰であるのか。かれはそれを倍加され、また数倍にもなされるではないか。アッラーは、乏しくもまた豊かにも自由自在に与えられる。あなたがたはかれの御許に帰されるのである。
246.あなたはムーサーの後の、イスラエルの子孫の長老たちに就いて知らなかったのか。かれらは、自分の預言者に向かって言った。「わたしたちのために、一人の王を立てなさい。そうすれば、わたしたちはアッラーの道のために、戦うであろう。」そこでかれは、「あなたがたに戦いが命じられても、戦わないのではないか。」と言った。かれらは(答えて)「わたしたちはどうして、アッラーの道のために戦わずにいられようか、自分の家を追われ、子供からも離れているのに。」と言った。ところが戦いがかれらに命じられると、かれらの中の少数の者を除き背き去った。アッラーは不義を行う者を熟知しておられる。
247.預言者はかれらに、「誠にアッラーは、タールートをあなたがたの上に、王として任命された。」と言った。かれらは言った。「かれがどうして、わたしたちの王になれようか。わたしたちこそ、かれよりも王に相応しい。またかれは富にも恵まれていない。」かれ(預言者)は言った。「アッラーは、あなたがたの上にかれを選び、かれの知識と体力を強められた。アッラーは御心に適う者に、王権を授けられる。アッラーは厚施にして全知であられる。」
248.預言者はかれらに言った。「かれの王権の印は、あなたがたに来るあの櫃である。天使たちがその中に、主からの平安と、ムーサーの一族とハールーンの一族の遺品を入れてやって来る。あなたがたがもし(真の)信者ならば、その中にあなたがたへの印がある。」
249.タールートが軍を率いて出征する時、かれは言った。「本当にアッラーは、川であなたがたを試みられる。誰でも川の水を飲む者は、わが民ではない。だがそれを味わおうとしない者は、きっとわが民である。只手のひらで、一すくいするだけは別だ。」だが少数の者の外、かれらはそれを飲んだ。かれ(タールート)およびかれと信仰を共にする者が渡った時、かれらは、「わたしたちは今日ジャールート(ゴリアテ)とその軍勢に敵対する力はない。」と言った。だがアッラーに会うことを自覚する者たちは言った。「アッラーの御許しのもとに、幾度か少い兵力で大軍にうち勝ったではないか。アッラーは耐え忍ぶ者と共にいられる。」
250.それからかれらは進んで、ジャールートとその軍勢に見えんとする時、(祈って)言った。「主よ、わたしたちに不屈の精神を注ぎ込んで下さい。わたしたちの足場を固めて、不信心の民に対し、わたしたちを御助け下さい。」
251.果たしてかれら(タールートの軍勢)は、アッラーの許しのもとにかれらを打ち破り、ダーウードはジャ―ルートを殺し、アッラーは、王権と英知をかれ(ダーウード)に授け、かれのおぼしめしに就いて教えられた。アッラーが人間を、互いに抑制し合うように仕向けられなかったならば、大地はきっと腐敗したことであろう。だがアッラーは、凡てのものに恵みをくださる。
252.これはアッラーの宣託で、われは真理をあなたに読み聞かせる。誠にあなたは、遣わされた者の一人である。
253.われは、これらの使徒のある者を外の者より以上に遇した。かれらの中である者には、アッラーが親しく御言葉をかけられるし、またある者は位階を高められた。またわれは、マルヤムの子イーサーに明証を授け、且つ聖霊によってかれを強めた。もしアッラーのおぼしめしがなかったなら、かれらの後継者たちは、明証が下った後互いに争うことはなかったであろう。だがかれらは相違した。ある者は信じ、またある者は信仰を拒否した。アッラーの御心なら、かれらは争わなかったのである。だがアッラーは、おぼしめしのことを行われた。
254.あなたがた信仰する者よ、われがあなたがたに授けた糧を取引もなく友情もなく、執り成しもない日の来る前に(施しに)使え。信仰を拒む者は、不義を行う者である。
255.アッラーかれの外に神はなく、永生に自存される御方。仮眠も熟睡も、かれをとらえることは出来ない。天にあり地にある凡てのものは、かれの有である。かれの許しなくして、誰がかれの御許で執り成すことが出来ようか。かれは(人びとの)、以前のことも以後のことをも知っておられる。かれの御意に適ったことの外、かれらはかれの御知識に就いて、何も会得するところはないのである。かれの玉座は、凡ての天と地を覆って広がり、この2つを守って、疲れも覚えられない。かれは至高にして至大であられる。
256.宗教には強制があってはならない。正に正しい道は迷誤から明らかに(分別)されている。それで邪神を退けてアッラーを信仰する者は、決して壊れることのない、堅固な取っ手を握った者である。アッラーは全聴にして全知であられる。
257.アッラーは信仰する者の守護者で、暗黒の深みから、かれらを光明の中に導かれる。信仰しない者は、邪神〔ターグート〕がその守護者で、かれらを光明から暗黒の深みに導く。かれらは業火の住人である。永遠にその中に住むであろう。
258.アッラーがかれに王権を授けられたことから、(高慢になって)主に就いてイブラーヒームと論議した者を、あなたは知らなかったのか。イブラーヒームが、「わたしの主は、生を授けまた死を賜う方だ。」と言った時、かれは「わたしも、生を授けまた死を与える。」と言った。イブラーヒームは言った。「アッラーは、太陽を東から昇らせられる。それであなたは、それを西から昇らせなさい。」そこでかの不信者は当惑してしまった。アッラーは不義を行う民を御導きになられない。
259.また、根底から壊滅してなくなった町を通り過ぎた者のようにかれは言うのであった。「アッラーは、どのように死に絶えたこの町を甦らされるのだろうか。」ところがアッラーは、百年の間かれを死なせ、それから甦らせた。そして、「あなたはどれくらい滞在したのか。」と言われた。かれは(答えて)申し上げた。「わたしは1日か半日過ごしました。」かれは言われた。「いや、あなたは百年滞在したのだ。だがあなたの食べ物と飲み物を見なさい。それはまだ年を経ていない。またあなたのロパを見なさい。われは、それを人びとへの一つの印としよう。なおその骨を見なさい。われがどうそれらを起こし、それから肉を着せるかを。」それが明示された時かれは、「アッラーが凡てのことに全能であられることが分りました。」と言った。
260.イブラーヒームが、「主よ、あなたは死者をどう甦らせられるのかわたしに見せて下さい。」と言った時(のことを思え)。主は言われた。「あなたは信じないのか。」かれは申し上げた「いや、只わたしの心を安らげたいのであります。」かれは言われた。「4羽の鳥をとって、それらを手元に集め切り刻み、それからそれらの一部をそれぞれの丘の上に置いて、それらを呼べ、それらは急いであなたの許に来るであろう。それであなたは、アッラーが偉力ならびなく英明であられることが分るであろう。」
261.アッラーの道のために自分の所有するものを施す者を例えてみれば、ちょうど1粒が7穂を付け、1穂に百粒を付けるのと同じである。アッラーは御心に適う者に、倍加してくださる。アッラーは厚施にして全知であられる。
262.アッラーの道のために、自分の財産を施し、その後かれらの施した相手に負担侮辱の念を起こさせず、また損わない者、これらの者に対する報奨は、主の御許にある。かれらには、恐れもなく憂いもないであろう。
263.親切な言葉と寛容とは、侮辱を伴う施しものに優る。アッラーは富有にして慈悲深くあられる。
264.信仰する者よ、あなたがたは人びとに見せびらかすため、持物を施す者のように、負担侮辱を感じさせて、自分の施しを無益にしてはならない。またアッラーも、最後の(審判の)日も信じない者のように。かれらを譬えてみればちょうど、土を被った滑らかな岩のようなもので、大雨が降れば裸になってしまう。かれらはその働いて得たものから、何の得るところもないであろう。アッラーは不信心の者たちを御導きになられない。
265.アッラーの御喜びを求め、また自分の魂を強めるために、その所有するものを施す者たちを譬えてみよう。かれらは丘の上にある果樹園のように、大雨が注げばその収穫は倍加し、また大雨がなくても、少しの湿り(で足りる)。アッラーはあなたがたの行うことを御存知であられる。
266.あなたがたの中、ナツメヤシやブドウの園を持ち、川が下を流れ、そこに凡ての果実があっても、自分は既に年老い、その子はまだ幼弱でおまけに旋風が猛火を伴ってきて、(全部)焼き払うようなことを望む者があろうか。このようにアッラーは、あなたがたに印を説き明かされる。恐らくあなたがたは反省するであろう。
267.信仰する者よ。あなたがたの働いて得たよいものと、われが、大地からあなたがたのために生産したものを惜しまず施せ。悪いものを図って、施してはならない。目をつむらずには、あなた(自身)さえ取れないようなものを。アッラーは満ち足りておられる方、讃美されるべき方であられることを知りなさい。
268.悪魔は貧窮をもってあなたがたを脅し、また恥じ知らずの行いを命じる。だがアッラーは寛容と恩恵をあなたがたに約束されておられる。アッラーは厚施にして全知であられる。
269.かれは御心に適う者に、英知を授けられる。英知を授けられた者は、本当に多分の良いものを授けられた者である。だが思慮ある者の外は、誰も反省しない。
270.あなたがたが、どんな施し物をしようとも、またどんな誓いを果たそうとも、アッラーは本当に凡てを知っておられる。凡そ不義を行う者を助ける者はない。
271.あなたがたは施しを、あらわにしても結構だが、人目を避けて貧者に与えれば更によい。それはあなたがたの罪悪(の汚)の一部を、払い清めるであろう。アッラーはあなたがたの行うことを熟知されておられる。
272.かれらを(正道に)導くことは、あなた(ムハンマド)の責任ではない。アッラーは、御心に適う者を導かれる。あなたがたが施す良いものは、みなあなたがた自身のためである。あなたがたは、アッラーの御顔(御喜び)を願う外には施さない。施した良いものは、完全にあなたがたに返されよう。あなたがたは不当に遇せられることはないのである。
273.(あなたがたの良い施しは)アッラーの道に、専従しているため、大地を闊歩出来ない困窮者のため(のものである)。かれらは控え目であるから、知らない者は金持であると考える。あなたがたはその様子から察しなければならない。かれらはしつこく人びとに請わないのである。あなたがたがよいものを施せば、アッラーは必ずそれを熟知されておられる。
274.自分の財を、夜となく昼となく、人目を避けて、またあらわに施す者は、主の御許から報奨が下される。かれらには恐れもなく憂いもない。
275.利息を貪る者は、悪魔にとりつかれて倒れたものがするような起き方しか出来ないであろう。それはかれらが「商売は利息をとるようなものだ。」と言うからである。しかしアッラーは、商売を許し、利息(高利)を禁じておられる。それで主から訓戒が下った後、止める者は、過去のことは許されよう。かれのことは、アッラー(の御手の中)にある。だが(その非を)繰り返す者は、業火の住人で、かれらは永遠にその中に住むのである。
276.アッラーは、利息(への恩恵)を消滅し、施し〔サダカ〕には(恩恵を)増加して下される。アッラーは忘恩な罪深い者を愛されない。
277.本当に信仰して善行に励み、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をなす者は、主の報奨を与えられ、恐れもなく憂いもない。
278.あなたがた信仰する者よ、(真の)信者ならばアッラーを畏れ、利息の残額を帳消しにしなさい。
279.もしあなたがたがそれを(放棄)しないならば、アッラーとその使徒から、戦いが宣告されよう。だがあなたがたが悔い改めるならば、あなたがたの元金は収得出来る。(人びとを)不当に扱わなければ、あなたがたも不当に扱われない。
280.また債務者がもし窮境にあるならば、そのめどのつくまで待て。もしあなたがたが分っているならば、(帳消しにして)喜捨することがあなたがたのために最もよい。
281.あなたがたは、アッラーに帰される日のために(かれを)畏れなさい。その時、各人が稼いだ分に対し清算され、誰も不当に扱われることはないであろう。
282.あなたがた信仰する者よ、あなたがたが期間を定めて貸借する時は、それを記録にとどめなさい。あなたがたのことがらを公正な記録者に記録させる。記録者は、アッラーが教えられたように記録し、書くのを拒むことは出来ない。それでかれに記録させなさい。債務者にロ述させなさい。かれの主アッラーを畏れ、少しもそれを少なく言ってはならない。もし債務者が、精神的に欠けるか幼弱者であり、または自らロ述できない場合は、後見人に公正にロ述させなさい。あなたがたの仲間から、2名の証人をたてなさい。2名の男がいない場合は、証人としてあなたがたが認めた、1名の男と2名の女をたてる。もし女の1人が間違っても、他の女がかの女を正すことが出来よう。証人は(証言のために)呼ばれた時、拒むことは出来ない。事の大小に拘らず、期限を定めた(取り決めは)記録することを軽視してはならない。それは、アッラーの御目には更に正しく、また正確な証拠となり、疑いを避けるために最も妥当である。只しあなたがたの間で受け渡される、直接の取引の場合は別である。それは記録にとどめなくても、あなたがたに罪はない。だがあなたがたの取引にさいしては、証人を立てなさい。そして記録者にも、証人にも迷惑をかけてはならない。もし(迷惑がかかることを)すれば、本当にそれはあなたがたの罪である。だからアッラーを畏れなさい。アッラーは、あなたがたを教えられた方である。アッラーは凡てのことを熟知されておられる。
283.あなたがたが旅行中で記録者を求め得ない時、担保を(提供させて)手に入れて置きなさい。だがあなたがたが互いに信用している時、信用された者には託されたことを(忠実に)果たさせ、かれの主アッラーを畏れさせなさい。証言を隠してはならない。それを隠す者は、心を罪で汚すものである。アッラーは、あなたがたの行うことを熟知されておられる。
284.天にあり地にある、凡てのものはアッラーの有である。あなたがた自身の中にあるものを、現わしてもまた隠しても、アッラーはそれとあなたがたを清算しておられる。アッラーは、おぼしめしの者を赦し、またおぼしめしの者を罰される。アッラーは凡てのことに全能であられる。
285.使徒は、主から下されたものを信じる、信者たちもまた同じである。(かれらは)皆、アッラーと天使たち、諸啓典と使徒たちを信じる。わたしたちは、使徒たちの誰にも差別をつけない(と言う)。また、かれらは(祈って)言う。「わたしたちは、(教えを)聞き、服従します。主よ、あなたの御赦しを願います。(わたしたちの)帰り所はあなたの御許であります。」
286.アッラーは誰にも、その能力以上のものを負わせられない。(人びとは)自分の稼いだもので(自分を)益し、その稼いだもので(自分を)損う。「主よ、わたしたちがもし忘れたり、過ちを犯すことがあっても、咎めないで下さい。主よ、わたしたち以前の者に負わされたような重荷を、わたしたちに負わせないで下さい。主よ、わたしたちの力でかなわないものを、担わせないで下さい。わたしたちの罪障を消滅なされ、わたしたちを赦し、わたしたちに慈悲を御くだし下さい。あなたこそわたしたちの愛護者であられます。不信心の徒に対し、わたしたちを御助け下さい。」

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